【2026年度】介護施設・事業所の法定研修一覧|対象サービスや運営指導対策を解説
投稿日:2026.06.12
最終更新日:2026.06.12
ジョブメドレーアカデミー編集部
介護施設・事業所で実施が求められる「法定研修」を一覧表で整理しました。各研修の対象サービスや年間研修計画の立て方、運営指導で見られるポイントなど、管理者や研修担当者が知っておくべき実務の要点をわかりやすく解説します。

目次
法定研修とは? 介護施設・事業所で実施が求められる研修
介護施設・事業所では高齢者虐待防止や身体的拘束等の適正化、業務継続計画(BCP)ほか、介護保険法などに基づき職員に対して実施が求められている研修があります。これらは実務上、「法定研修」「義務研修」「必須研修」などと呼ばれています。
本記事では事業者が実施すべき以下の研修を「法定研修」と定義して整理します。
- 各サービスの運営基準で実施が定められている研修
- 介護サービス情報公表制度に基づき、実施や記録の有無が確認される研修
介護施設・事業所で法定研修を実施しない場合のリスク
法定研修の実施は利用者の安全確保やサービスの質向上に直結するだけでなく、運営指導での指摘や介護報酬の減算リスクを回避するためにも重要です。たとえ実際に研修をしていても、実施記録や受講記録が適切に保管されていなければ、客観的な証明ができず未実施とみなされる可能性があります。ここでは研修を怠った場合、あるいは記録に不備があった場合に事業所が被る4つの大きなリスクを解説します。
運営指導で指摘を受ける可能性がある
運営指導では、運営基準を踏まえて事業所が体制整備や研修を適切に行っているかが確認されます。研修においては年間研修計画、研修実施記録、受講者名簿、研修資料などがチェックされます。
特に高齢者虐待防止、身体的拘束等の適正化、感染症対策、BCP、事故発生防止の5項目は、単に研修を行うだけでなく、委員会、指針の整備、訓練(シミュレーション)などと一体的な運用ができているかまで確認されます。記録に不備があると改善指導の対象となるため注意が必要です。
介護報酬の減算につながる場合がある
特定の研修や必要な措置を怠った場合、介護報酬を減算される可能性があります。たとえば身体的拘束等の適正化は、実際に施設内で身体拘束を行っていなくても研修や委員会の開催といった要件を満たしていなければ減算対象となります。
研修を怠った場合に適用される減算項目は以下のとおりです。
高齢者虐待防止措置未実施減算 | 減算の単位数:所定単位数の1% 対象と研修頻度 ・施設系サービス:年2回以上 + 新規採用時 ・その他のサービス:年1回以上 + 新規採用時 ※居宅療養管理指導・福祉用具貸与・特定福祉用具販売を除く全サービス 求められる研修:高齢者虐待防止研修 |
|---|---|
身体拘束廃止未実施減算 | 対象と減算の単位数 ・施設・居住系サービス:所定単位数の10% ・短期入所系・小規模多機能系サービス:所定単位数の1% 研修頻度:年2回以上 + 新規採用時 求められる研修:身体的拘束等の適正化のための研修 |
安全管理体制未実施減算 | 減算の単位数:1日につき5単位 対象と研修頻度:介護保険施設、定期的な実施 求められる研修:事故の発生予防や再発防止のための研修 |
事故・虐待・感染症等の発生時に事業所の責任を問われやすくなる
万が一、事業所内で事故、虐待、感染症の集団発生、災害などのトラブルが起きた際、事業所には再発防止や利用者保護に向けた適切な対応が求められます。このとき日頃から研修を実施していた記録は、事業所として教育・周知を徹底していたことを示す重要な証拠となります。
「研修をしたかどうか」だけでなく、「誰が受講したか」「どのような内容を学んだか」まで記録しておくことで、日頃の取り組みを説明しやすくなります。
サービスの質や教育体制に不安を持たれることがある
介護サービス情報公表制度の調査票には、研修の実施や実施記録の有無を確認する項目があります。調査結果は介護サービス情報公表システムで公開されるため、研修を実施していないことや実施記録がないことは、利用者や家族、ケアマネジャーなども確認できます。
その結果、研修体制が整っていない印象を与え、事業所を比較・検討する際の懸念材料になることがあります。
介護施設・事業所で義務付けられている法定研修は多岐にわたり、職員ごとの受講状況や実施記録を紙やエクセルで管理するのは大変です。オンライン動画研修サービス「ジョブメドレーアカデミー」では、介護施設・事業所で必要な法定研修の実施はもちろん、受講管理や記録整備をまとめて支援しています。
受付時間 9:30 〜 18:00(平日)
介護施設・事業所で確認したい法定研修一覧
以下は事業者が実施・確認すべき法定研修を、主要な介護サービスごとに整理した早見表です。現任・新任や資格の有無で対象を限定せず、事業所として定期的に実施・管理する研修を中心にまとめました。
法定研修一覧|訪問系・通所系・居宅介護支援・地域密着型サービス

法定研修一覧|施設系・居住系サービス

※本表は各サービスの運営基準で実施が定められている研修と、介護サービス情報公表制度の調査票で研修項目として確認されるものをもとに、主要14サービス向けに整理したものです。
※◎は年2回以上の実施が求められる研修、○は年1回以上または定期的な実施が求められる研修を示しています。
※本表では、運営基準で実施が定められている研修、または介護サービス情報公表制度の調査票で研修項目として明記されているものを○としています。運営基準と調査票のどちらに基づくかは、研修項目やサービス種別によって異なります。(例:身体的拘束等の適正化のための研修は、運営基準上、すべてのサービスで実施が求められているものではありません。一方、介護サービス情報公表制度の調査票では、本表に掲載した主要14サービスすべてに、研修実施記録の有無を確認する項目があります)
※実際の対象範囲や実施頻度は、サービス種別や自治体の運用によって異なる場合があります。自施設・自事業所に適用される運営基準や自治体の案内、介護サービス情報公表制度の最新の調査票を確認してください。
一覧表とは別に確認したい研修・対応
事業所全体で一律に実施すべき研修(上表)のほかにも、対象となる職員が限られる研修や、職種や役割によって内容を変えるべき研修、研修以外の措置とあわせて確認すべき対応もあります。ここでは早見表とは別に管理しておきたい項目を整理します。
認知症介護基礎研修
認知症介護基礎研修は医療・福祉関係の資格を持たない介護職員等を対象とした研修です。新卒採用・中途採用を問わず、新たに採用した対象職員には採用後1年以内に受講してもらう必要があります。
介護職員初任者研修や介護福祉士実務者研修を修了した人、介護福祉士の資格を有する人などは原則として対象外です。ただし、免除の対象となる資格は定められているため、資格名や証明書類を確認しておくことが大切です。
なお、認知症介護基礎研修は自治体の指定・委託を受けた実施機関等で受講します。早見表の「認知症及び認知症ケアに関する研修」とは位置づけが異なるため、同じ研修として扱わないように注意しましょう。
新任者研修
新任者研修は新たに入職した職員がサービス提供に必要な知識や技術、事業所のルールなどを早い段階で身につけるための研修です。また、感染症対策や身体的拘束等の適正化(※)、高齢者虐待防止に関する研修は、新規採用時の実施も義務付けられています。
全職員向けの研修とは分けて、入職時期や職種に応じた研修計画を立て、実施日、研修内容、受講者、使用資料などを記録しておきましょう。
※身体的拘束等の適正化のための研修は、身体拘束廃止未実施減算が適用される施設系・居住系・短期入所系・小規模多機能系サービスなどで実施が求められます。
職員の資質向上のための研修
職員の資質向上のための研修は、運営基準に基づき、介護サービス事業者が実施すべき基本的な取り組みの一つです。
この研修は特定のテーマを一律に実施するのではなく、各職員の職種や経験年数、役割に応じて内容を定めるものです。実務では新任者、中堅職員、リーダー職などに分けて、必要な知識や技術を段階的に学べるようにすると運用しやすくなります。
また、介護職員等処遇改善加算の算定要件としても、職員の資質向上のための研修やキャリアアップに向けた支援が求められます。職員個々の年間研修計画を整備しておくことは、こうした加算の算定にも役立ちます。
>【2026年度】介護の処遇改善加算とは? 算定要件・計算方法・注意点を解説
ハラスメント対策
職場内のハラスメント対策は事業主が取り組むべき職場環境づくりの一つです。パワーハラスメントやセクシュアルハラスメントについては、方針の明確化、労働者への周知・啓発、相談体制の整備などが必要です。これらの方針を職員に伝えるための有効な手段として、研修の実施も推奨されています。
また、2026年10月1日からはカスタマーハラスメント対策も義務化されます。カスハラに対して労働者を保護する方針の明確化、労働者への周知・啓発、相談体制の整備などの措置を講じることが求められるため、早めに研修の準備も整えておきましょう。
サービスに関する情報共有についての研修・会議等
介護サービス情報公表制度の調査票には、通所介護、通所リハビリ、居宅介護支援など一部のサービスについて、サービス提供に必要な情報が職員間で共有されているかを確認する項目があります。
確認材料として示されているのは、会議、研修、勉強会、回覧等の記録です。そのため、必ずしも研修として実施する必要はありません。
大切なのはサービスの提供や目標の実現に向けて、必要な情報が職員に共有されていることです。共有した内容、日付、対象者、方法がわかるように記録を残しておきましょう。
法定研修の年間研修計画作成の3つのポイント
①対象者が広い研修と、対象者が限られる研修を分ける
年間研修計画を立てるときは、まず早見表で確認した研修を洗い出します。新任者・現任者等を問わず一律で実施が求められる研修と、それ以外の研修とをひとまとめに検討すると、誰が、いつ、どの研修を受ける必要があるのかがわかりづらくなり、受講漏れにつながる恐れがあります。
②研修テーマを年間に配分する
年2回以上の実施が求められる研修は上期・下期に分けるなど、年度内で無理なく実施できるように配置します。新規採用時に実施すべき研修は、中途入職者にも対応できるよう計画に入れておきます。
また、研修以外の取り組みも必要なテーマは実施時期を近づけておくことも有効です。たとえばBCPは研修だけでなく訓練も求められますが、研修の翌月等に訓練を行うことで職員の理解が深まり、BCPの実効性も高まります。
③資質向上・加算・事業所の課題に応じた研修も組み込む
年間研修計画には早見表にある法定研修だけでなく、職員の資質向上に関する研修も組み込みます。職員の階層ごとに必要な研修を整理しておくと、育成にも活用しやすくなります。
加算の算定に関わる研修がある場合は、対象者や要件を確認したうえで年間計画に反映しましょう。また、事業所ごとの課題も研修計画に反映できます。事故やヒヤリハットの傾向、苦情の内容、利用者の特性、職員の不安やつまずきやすい業務などを踏まえてテーマを加えると、義務への対応にとどまらない実務に役立つ研修計画を作成できます。
法定研修に加えて職員のキャリアパスに応じた研修も整備したい場合には、ジョブメドレーアカデミーの活用をおすすめします。
運営指導に備えて整備しておくべき研修記録
法定研修は実施して終わりではありません。運営指導や介護サービス情報公表制度に基づく確認に備えるためにも、研修内容と受講状況を客観的に示せる記録を残しておくことが重要です。
研修実施記録に残しておきたい項目
研修の実施記録には以下の項目を残しておきましょう。運営指導の際、説明に困らずにすみます。
- 研修名
- 実施日
- 実施方法(集合研修、オンライン研修、外部研修など)
- 講師または実施者
- 研修内容
- 使用資料
- 受講者名
- 欠席者の有無・欠席者へのフォロー
- 確認テストやレポートの有無
あわせて、受講者名簿、研修資料、受講履歴、確認テスト・研修レポートなども保管しておくと安心です。
運営指導で確認されやすい項目
運営指導では自治体の担当者が運営基準に基づいて事業所の運営状況を確認します。厚生労働省の運営指導マニュアルでは指導の標準化・効率化を図るため、サービスごとに確認文書や確認項目が示されています。
研修については主に次の点を確認できるようにしておきましょう。
確認されやすい項目 | 整理しておくべき資料・記録の例 |
|---|---|
研修計画があるか | 年間研修計画、研修スケジュール |
必要な研修が計画に含まれているか | 法定研修一覧、自事業所の対象研修リスト |
研修を実施しているか | 研修実施記録、研修資料 |
対象者が受講しているか | 受講者名簿、受講履歴、出欠記録 |
欠席者にフォローしているか | 欠席者への再受講記録、動画視聴履歴 |
新規採用者への研修を実施しているか | 入職時研修記録、新任者研修計画 |
年2回以上必要な研修を適切に実施しているか | 上期・下期の実施記録、年間計画との照合資料 |
減算項目の研修は関連資料もあわせて整理
高齢者虐待防止研修、身体的拘束等の適正化のための研修、事故の発生予防や再発防止のための研修は、必要な措置が不十分だと減算につながることがあります。そのため研修記録だけでなく、関連する委員会の記録や指針、担当者の配置状況などもあわせて整理しておきましょう。
研修項目 | 記録整備のポイント |
|---|---|
高齢者虐待防止研修 | 研修の実施記録、虐待防止検討委員会の記録、指針、選任担当者の設置状況などをあわせて確認できるようにする |
身体的拘束等の適正化のための研修 | 研修の実施記録、身体的拘束等適正化検討委員会の記録、指針、身体拘束等を行った場合の記録を整理する |
事故の発生予防や再発防止のための研修 | 事故発生防止のための研修記録、事故防止検討委員会の記録、指針、安全対策担当者の配置状況などを確認できるようにする |
法定研修を効率よく実施・管理する方法
集合研修だけで実施する場合の主な課題
対面型の集合研修には、その場で講師に質問ができる、受講者同士で意見交換がしやすいといったメリットがあります。一方で、介護施設・事業所ではシフト勤務の職員が多く、全員が参加できる日時を確保するのは簡単ではありません。研修を実施するまでには講師の手配、研修資料の作成、会場の確保なども行わなければならず、欠席者がいれば別日程での再実施や個別フォローも必要です。
また、紙やExcelで受講状況を管理していると、誰がどの研修を受けたのか、どの記録が残っているのかを確認するだけでも手間がかかります。法定研修を確実かつ継続的に実施するには、研修担当者の負担をどう抑えるかが課題になります。
動画研修でも受講管理・記録管理は必要
Webで公開されている動画や社内動画を使えば、研修のたびに講師や会場の手配をしたり、全員を同じ時間に集めたりする必要がなくなります。
しかし、動画を見てもらうだけでは十分とはいえません。誰が、いつ、どの研修を受講したのか、未受講者にどう対応したのかといった情報を残せる仕組みがなければ、研修を適切に運営・管理することは困難です。
eラーニングを活用するメリット
eラーニングを活用すると、研修資料の作成や講師の手配にかかる負担を抑えられます。職員が自分の勤務状況に合わせて受講できるため、集合研修のように全員の日程を揃える必要もありません。
また、受講履歴をシステム上で確認できれば、未受講者を把握し、再受講の案内や個別フォローをしやすくなります。誰が、いつ、どの研修を受講したかを記録できるため、運営指導に向けた記録整備にも役立ちます。
年間研修計画、受講履歴、実施記録をまとめて管理できるサービスを活用すれば、研修担当者の作業負担を抑えながら、法定研修を継続的に運用できます。
まとめ|法定研修は一覧化し、計画・受講管理・実施記録まで整えよう
介護施設・事業所には実施が求められる法定研修が数多くあります。未実施の場合は減算につながる研修もあるため、まずは自施設・自事業所が行うべき研修を漏れなく把握しましょう。
次に対象者、実施頻度、記録として残すべき項目を確認します。研修を実施していても、受講履歴や実施記録が不十分だと運営指導で指摘を受ける場合があります。また、介護サービス情報公表システムで研修実施記録がないことが公表されると、利用者や家族、関係機関からの信頼に影響する可能性もあります。
法定研修を継続的に運用するには、年間研修計画、受講管理、実施記録をまとめて整える仕組みが欠かせません。ジョブメドレーアカデミーでは、高齢者虐待防止をはじめとした法定研修のほか、職員の資質向上に役立つ研修も取り揃えています。研修の実施漏れを防ぎ、運営指導に備えた記録整備まで効率化したい方は、ぜひご相談ください。
受付時間 9:30 〜 18:00(平日)
参考
・厚生労働省|介護サービス情報の公表制度
・厚生労働省|介護保険施設等運営指導マニュアル
・厚生労働省|介護保険最新情報Vol.1345 高齢者虐待防止措置未実施減算、身体拘束廃止未実施減算の取扱いに係るQ&Aの周知について
・厚生労働省|令和6年度介護報酬改定について
・厚生労働省|介護職員の処遇改善:TOP・制度概要
・厚生労働省|令和8年10月1日からハラスメント対策が強化されます!
・e-Gov法令検索|指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準
・e-Gov法令検索|指定地域密着型サービスの事業の人員、設備及び運営に関する基準
・e-Gov法令検索|指定居宅介護支援等の事業の人員及び運営に関する基準
・e-Gov法令検索|指定介護老人福祉施設の人員、設備及び運営に関する基準
・e-Gov法令検索|介護老人保健施設の人員、施設及び設備並びに運営に関する基準
・e-Gov法令検索|介護医療院の人員、施設及び設備並びに運営に関する基準
(最終アクセス:2026年6月8日)
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