【2025年度最新版】介護職員等処遇改善加算とは? 算定要件や計算方法をわかりやすく解説

介護

投稿日:2024.07.31

最終更新日:2025.02.27

ジョブメドレーアカデミー編集部

介護職員等処遇改善加算とは、介護職員などの処遇改善を図るための加算制度です。2024年6月に従来の3つの加算制度が一本化され開始しました。制度の概要や旧加算との違い、サービス種類別の加算率、届出方法などについて詳しく解説します。

【2025年度最新版】介護職員等処遇改善加算とは? 算定要件や計算方法をわかりやすく解説

介護職員等処遇改善加算とは

2024年6月施行の新しい処遇改善加算

介護職員等処遇改善加算とは、施設のケアマネジャーや事務職員等を含む、介護サービスに従事する職員の処遇改善を図るための加算制度です。元々は介護職員処遇改善加算、介護職員等特定処遇改善加算、介護職員等ベースアップ等支援加算の3つの加算制度が用意されていましたが、2024年6月より介護職員等処遇改善加算に一本化されました。

3つの介護職員処遇改善加算が統合され、介護職員等処遇改善加算となりました

そもそも処遇改善加算は、介護業界の人手不足を改善するために設けられました。少子高齢化が進む日本では介護サービスのニーズが増大しています。しかし、介護報酬は公定価格のため職員の給与を上げにくく、人材確保が業界全体の大きな課題となっています。このような状況を受け、職員の賃金改善や職場環境の整備のために3つの加算が順次設けられ、2024年度の介護報酬改定で統合されました。

処遇改善加算一本化の狙い

処遇改善加算の一本化は次の観点からおこなわれました。

  • 事業者の賃金改善や届出に係る事務負担を軽減する
  • 利用者負担の理解を得やすくする
  • 柔軟な事業運営を可能にする

なかでも重視されたのが届出に係る事務負担の軽減です。旧3加算のなかでも介護職員等特定処遇改善加算はとくに手続きが複雑であり、ほかの2つの加算制度の取得率が9割を超えているのに対し、同加算の取得率は7割台にとどまっていました。そこで、介護職員等の確実な待遇改善に向けて制度を簡素化すべく新加算が創設されたのです。

対象外のサービス

介護職員等処遇改善加算はすべての介護サービスが算定できるわけではありません。基準上、介護職員が配置されていない以下のサービスは加算を受けられないためご注意ください。

  • 訪問看護
  • 訪問リハビリテーション
  • 居宅療養管理指導
  • 福祉用具貸与
  • 特定福祉用具販売
  • 介護予防訪問看護
  • 介護予防訪問リハビリテーション
  • 介護予防居宅療養管理指導
  • 介護予防福祉用具貸与
  • 特定介護予防福祉用具販売
  • 居宅介護支援
  • 介護予防支援

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新処遇改善加算の構造と配分ルール

新加算は4区分のみ 

新加算は旧3加算の各区分の要件と加算率を組み合わせたうえで、4つの区分に再編されました。

ここで注意したいのが、新加算への移行によって旧3加算で取得していた加算率に相当する区分が無くなるケースがあることです。旧3加算は加算区分の組み合わせが全部で18通りありました。しかし新加算は4通りのみのため、新加算の加算率が従前の加算率を下回る可能性があるのです。

旧3加算は加算の組み合わせが3×3×2で18通りありましたが、新加算は4通りです

その激変緩和措置として、「区分V」が期限付きで設けられました。「区分V」は旧3加算の取得状況に応じて算定され、2025年3月までは従前の加算率を維持できる仕組みでした。しかし、措置終了後の2025年4月以降は「区分V」を算定できないため、新加算への移行が必要です。

訪問介護の場合、新加算4区分の加算率は14.5%~24.5%です。

厚生労働省|処遇改善加算の一本化及び加算率の引き上げ(令和6年6月〜)令和6年度介護報酬改定での見直しの概要・令和6年度の申請様式等 事業者向けリーフレットをもとに作成(最終アクセス:2024年7月30日)

賃金配分のルール

新加算と旧3加算の違いは、賃金配分のルールにも見られます。旧3加算は加算ごとに配分ルールが異なりましたが、新加算では「介護職員への配分を基本とするが(とくに経験や技能のある職員に重点的に配分する)、事務所内で柔軟な配分を認める」ことが4区分の統一ルールとされました。なお、パートや派遣職員も加算の対象です。

介護職員処遇改善加算の配分対象者は介護職員に限定されていましたが、介護職員等処遇改善加算は事業所内での柔軟な配分が可能です

サービス種類別の加算率

以下の表は新加算の4つの区分(Ⅰ~Ⅳ)と、激変緩和措置のために設けられた区分Ⅴ(2025年3月末で終了)のサービス別加算率をまとめたものです。2024年度介護報酬改定では、加算率が最大2.3パーセント引き上げられました。

<介護職員等処遇改善加算Ⅰ~Ⅳの加算率>

21のサービス区分ごとに加算Ⅰ~Ⅳの加算率が定められています

<参考|介護職員等処遇改善加算Ⅴの加算率> ※2025年3月末で終了

経過措置の加算Ⅴは、さらに14の区分に分かれています

厚生労働省|(参考)介護職員等処遇改善加算の加算率(サービス類型ごと・令和6年度中)をもとに作成(最終アクセス:2024年7月30日)

新処遇改善加算の算定要件 

新処遇改善加算Ⅰ~Ⅳの要件

新加算の算定要件は、旧3加算と同様に「キャリアパス要件」「月額賃金改善要件」「職場環境等要件」の大きく3つに分かれており、算定する区分に応じて各要件を満たす必要があります。算定要件のなかには、経過措置として2026年3月末まで適用が猶予されるものもあります。

一本化当初、経過措置期間は2025年3月末までとされていました。しかし、新加算開始後も依然として全産業平均と介護職員の賃金に差があることから、さらなる加算取得の促進のため、2025年度も引き続き経過措置がおこなわれることになりました。具体的には、「キャリアパス要件の猶予期間を2025年度末まで延長」「職場環境等要件の適用が緩和される」などの見直しがされています。

加算を算定するには「キャリアパス要件」「月額賃金改善要件」「職場環境等要件」を満たす必要があります

なお、2025年4月以降に適用される職場環境等要件は以下のとおりです。経過措置が延長となりましたが、2025年度中に要件を満たせるように準備しておくことが大切です。

2025年度より適用される職場環境等要件は全部で28項目あります

新加算の要件確認時における重要なポイントは、新加算ⅠまたはⅡを算定する場合に、介護サービスの情報公表制度を活用して取り組みの内容を公開する必要があることです。処遇改善加算の算定状況と、職場環境等要件の取り組み項目や具体的な内容を「事業所の特色」欄に記載しましょう。情報公開制度の報告の対象となっていなくても、事業所のホームページなどを用いて外部から見える形で公表する必要があります。

加算Ⅴからの移行について ※2025年3月末までに必須です!

上記で紹介した加算Ⅴ(1~14)は、一時的に設けられたものです。2025年3月末までに新加算の要件を満たせなかった場合、2025年度以降は加算を受けられなくなります。要件緩和の経過措置もあるので、2025年度は新加算Ⅰ~Ⅳに移行しましょう。

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新処遇改善加算の届出方法

届出書類と提出期限

処遇改善加算は算定の前後にそれぞれ書類を提出する必要があります。新処遇改善加算の届出時は、主に以下の2つの書類を提出します。

<届出時に提出する書類>

  • 処遇改善計画書(別紙様式2-1、2-2)
  • 介護給付費算定に係る体制等状況一覧表(体制届)

処遇改善計画書は、処遇改善加算を取得するすべての施設・事業所が毎年度提出するものです。体制届は、2025年度から新たに加算を取得する場合や、区分を変更して取得する場合に提出する必要があります。

なお、申請の事務負担を軽減するため、2025年度は「処遇改善加算計画書」と「介護人材確保・職場環境改善等事業」(介護保険事業費補助金)の申請様式が一体化されています。介護保険事業補助金への申請が、介護職員等処遇改善加算の「職場環境等要件」の算定要件の一部となったからです。

介護保険事業補助金を申請する場合、別紙様式2-3、2-4もあわせて提出が必要です。ただし、加算と補助金で提出先が異なるため、ご注意ください。

処遇改善加算を取得する際は、別紙様式2-1~2-2の処遇改善計画書を各指定権者に提出します

届出書類の提出期限は以下のとおりです。

新規に加算を取得する場合は、算定を受けようとする月の前々月末日までに計画書を提出します

2025年4月からの算定を検討している事業所や、介護事業費補助金の申請を希望する事業所は、厚生労働省や自治体のホームページで詳細をご確認ください。

<算定後に提出する書類>

算定後には実績報告書の提出が求められます。実績報告書の提出期限は以下のとおりです。

新処遇改善加算の計算方法

処遇改善加算の総額を求める方法は以下のとおりです。

  1. 1ヶ月の総単位数(基本サービス単位数+加算と減算の合計)を出す
  2. 1ヶ月の総単位数に加算率をかけ、処遇改善加算の総単位数を出す
  3. 処遇改善加算の総単位数に地域区分単価をかける

2024年度の各サービスの加算率については、「3.サービス種類別の加算率」に記載した表を参考にしてください。また、サービス別の単位数や、地域区分については、「介護給付費等単位数サービスコード(令和6年4月施行版)」「地域区分について」をご参照ください。

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